「個夢劇場(コム劇場)」は、文字通り「自分の夢や自分らしさを演出するステージ」。
映像表現者の共創・共感の場として、株式会社オーエンが長年運営してきた動画サイトで、「イキイキテレビ」のベースとなっています。その創設は光ブロードバンド網がまだ全国に整備されていない2001年でした。全国クリエイターネットワークによる地域映像サイト(視聴無料)としては全国初でした。
創設当時は、「インターネットで誰が映像を見るの?」とか「仮にネット動画の時代が来るとしても10年以上先になる」との酷評を各方面の専門家から受けたこともありました。しかし、私たちには、「動画のベクトルも今後インターネットに向かうだろう」「これからはきっと個人クリエイターの時代が来る」との確信がありましたので、「みんなが主役!見るテレビから参加するテレビへ」を標榜して、「個夢劇場」のサービスを開始しました。これは、ユーザーの投稿を主体とするCGM(Consumer Generated Media)による動画サイトの先駆けでもありました。
私たちが「個夢劇場」で実施した日本初ともいえる取り組みとしては、
1.一般ユーザー(実名)や個人クリエイターからの映像作品を主体としたこと
2.全国クリエイターネットワーク(映像・ナレーション・音楽)を構築したこと
3.ネットに相応しいのは3分以内の短尺映像との信念で、「3分」に限定したこと
4.映像作品ごとに評価やコメントを書いてもらうコミュニケーション機能を装備
5.放送局の「上から目線」に対して、個夢劇場は「生活者目線」を目指したこと
・・・・等が挙げられます。
そして、手前味噌ではありますが、「個夢劇場」が当初から目指した方向性は、結果的に間違っていなかった、との自負があります。これは、「GYAO」のような、放送局やプロダクションによる既存のコンテンツをオンラインで配信する映像ビジネスが苦戦しているのに対し、「YouTube」をはじめとする、ユーザー投稿の短尺動画による動画共有サイトが視聴者を圧倒的に獲得していることを見れば明らかです。
しかし、「個夢劇場」と現状の「YouTube」とは、CGMによる動画サイトという点では共通でも、そのバックグラウンドやフィロソフィーに大きな隔たりがあります。「個夢劇場」が地域のクリエイター(個人)の映像を主体とした理由として、
1.個人であれば著作者を特定でき、従って著作権処理が明確かつ容易(不要)であること
2.今後の地域コンテンツの担い手は、地域クリエイターや一般ユーザーであると思われる
3.放送局や大手プロダクションであれば、近い将来、(その気になれば)自前コンテンツでオンライン放送局を開設できるが、個人クリエイターの場合、コンテンツ量や能力に限界があるため、全国のクリエイターのパワーを結集することで、彼らのビジネスチャンスを創出したい
・・・・等が挙げられます。
当初より「誰もが参加できるテレビ」を標榜してきた経緯から、「YouTube」をはじめとする動画共有サイトの登場は予測の範囲内でしたが、さすがに、クリエイターの"命"とも言うべき著作権など、その「不透明な権利処理」がまかり通るとは、予想しておりませんでした。
もし、「どうせインターネットに公開したら著作権を守れないから」と短絡的に考えているとしたら、それは誤りです。むしろ動画コンテンツの場合、逆に、その創作物の対価を保証できるビジネスは、デジタル技術によるインターネット上でこそ成立するのです。
「個夢劇場」を創設した当初の映像作品には、テレビ番組や市販ビデオのコピー、宣伝や自分本位のビデオが投稿される可能性がありましたので、著作権・肖像権等の権利面のチェックとクオリティ維持に力を注いできました。このような行為を「消毒臭い」と考えるWeb2.0派もいらっしゃるようですが、少なくとも著作権軽視、クオリティ不干渉の「キナ臭さ」よりはベターな選択であったと思います。
このように「個夢劇場」では、クリエイターの表現や共創の「場」として、創作活動支援に重きを置いてきましたが、今後は、創作性の価値を理解する人たちが連携して、創作活動をビジネスとして支えていくための「共通基盤(プラットフォーム)」が必要となってきました。
そして、新たなニーズや新技術がむくむくと湧き出てくる時代に適応させるべく、2001年創設当時の「個夢劇場」のサイト機能は、次第に「イキイキテレビ」に移行することになります。しかし、「個夢劇場」で培った人的ネットワーク、映像資源、フィロソフィー、社会的使命等はそのまま"みんなの映像プラットフォーム/イキイキテレビ"に引き継がれていきます。
「個夢劇場」のDNAが「イキイキテレビ」にも組み込まれており、これが、「イキイキテレビ」が他の動画共有サイトと一線を画すベクトルを持つ所以なのです。